言葉足らず

遂にその時が来た。
その時が来ることは確実で、疑いようもなかった。頭では理解出来ても心は未だに信じてない。腑に落ちてない。でも確実に起こってしまった。もう元には戻せない。

祖父が亡くなりました。
その一言だけが、どうしても受け入れられない。すぐ会える距離でもない。2年前に会ったきりなのに。
その時は今まで通りの祖父がいて、僕の事は覚えてなかったけど。手の感触は昔のままで。忘れていた記憶が思い出され。
言葉にならない感情と、それを言葉にしたい願いを、今の今までずっと心にしまい込んでいた。
未だに言葉に出来ないし、理解も出来てない。
でも現実に確実に祖父はもういない。
今、会う勇気がどうしても出なかった。こんな時だからとか、色んな言い訳は常套句として出てくるけど。そんな陳腐なことじゃなく、これで終わってしまう事の恐怖が勝った。祖父との地がこれで終わってしまうのか。家もなくなるだろう、長い時間過ごしたその土地と僕との繋がりが途絶えてしまう。その事実が重くのしかかる。
墓参り行ける、旅行として楽しめる。
そうかもしれない、でもその土地で過ごした時間と、これからも過ごせたかもしれない時間。目の前で途切れたかな?
お願いやから、せめて思い出だけはそこでずっと生き続けて欲しい。僕は忘れない。
いつの日かまたそこを歩く。
幼少期を過ごした場所には道路と駐車場。
今ある家は誰かの手に渡るだろう。僕が住むのはしがらみが邪魔する。それは誰も許さない。血が邪魔する。その血で幾度となく隠れて涙を流した。唯一慰めてくれたのは祖母。
その慰めがあったから、懲りずに会いに行けた。子供ながら結構えぐられた大人達の言動。血って何でこんなにも複雑で強固で適わないのか現実を見せられた。

また1人会えない人が出来た。
次は誰なのか。僕か、それとも両親か、家族か、親友か。
叶わない願いだけど、誰の番も来ないでください。
永遠なんか幻だけど。
叶わぬ願いとしてずっとずっと願う。
実は死ぬことがどうしても色濃くなってきてる。別に死にたい訳じゃない。そこはハッキリ言いたい。
でも年々誰かがいなくなる。当たり前の事かもしれないけど。身近な誰かがいなくなる。
その都度、死を意識する。死神の存在を感じる。だからなのか?僕の番はまだ来ない。最後の最後まで生かされるんでしょ?
まだ悲しみ足りない。お前の過去の行いに比べたら、まだまだ足りない。そう言われてる気がする。
ごめんなさい。懺悔しても足りないのも知ってる。言葉じゃない。重みとして背負えと死神は言う。祖父と祖母。ほんとかけがえのない存在だった。この2人がいなかったら、今の自分はない。もっと違う人間になってた。2人がいてたから生きてこれた。感謝しても届いてるかな?まだ届かないとは思うけど。
ありがとう。だからこそまだ生きます。
辛いことも楽しい事も、もっといっぱい経験します。心が折れそうな時はお話し聞いてくださいね。

無理して気丈にするのでもない、無理して強がるのでもない、でもこの気持ちだけは無理して書きます。
どのタイミングで終わらせたらいいのか分かりません。
明日、明後日、それ以上、月日が経って読み返す時が来たらまた書く。その時まで残しておこう。

ありがとうございました。
いつか会えるかな。会いたい。